あなたのことは何でもわかっているのだから

映画「ヴィタール」は、それはそれはとてもすてきな映画だった。塚本晋也監督ということとあのポスターで、かなり間違えたイメージを与えている。これは、とても美しい恋愛映画で。とても壮絶でそれでいてかわいい魂をせつなく描いた映画だった。と自分の持っている恋愛に関するぼきゃぶらりいを総出してみましたよ。
しかし映画は不入りらしく、もう上映が終わってしまうらしいので、未見の人はぜひ。COCCO好きな人は音楽が使われているだけでなく、この映画自体がこっこ風だとも。
詳細はきっと、いつか。
他の いつか書きたい特別クラスで面白かったもの。

古川日出男「gift」
河井克夫「日本の実話」
安永知澄「やさしいからだ」
冬の八甲田山と。
それにしても「ヴィタール」のラストには。キュンっつ。

と、しつこいけど。白岩玄の「野ブタ。をプロデュース」のラストはNHKの教育番組的な道徳的で。。と前に書いた感想は全く違っていて。あのラストのしっくりこない感は、ラストが少しも解決していなくて。ただ主人公と作者が逃げているだけだからなのだ。だけど、それはとても上手く出来ていた世界だったから、主人公も作者も、あれが物語の解決だと確信してしまったのだろう。しかし、できれば本を読むということは時間つぶしでなくて、どこか違う場所へ連れていってもらうことだと信じている貧乏性のわたしには、これはどこにも連れていってくれなかった。という失望感かもしれない。一方、それなのに「グランド・フィナーレ」は、ロリコンという今をときめく危ない人間にすら、難儀な場所での奇妙な舞台を用意させているじゃないですか。と、「ヴィタール」の香りを思い出しながら。