君と最悪の人生を消したい

Shipbuilding2008-05-04

朝顔はもちろんどこかしら成長して変わっているのだろうけど昨日との違いは気づかない。もう朝顔の写真を載せるだけでも毎日だらだら書き続けてみせたい。そういえば雨水に頼って一度も水をやっていない。しかも、釜飯の鉢は底に穴が開いていない。なんとかなる。たいていのことは気にしない方が却ってなんとかなる。そんなはず。
というわけで。このエントリは、The ピーズが好きなあの人へ 

ゆーわけで/せっかくだし/悪いけど/続くよ/
君と最悪な人生消したい/そして最悪の人生を消したい
「実験4号」

犬を動物病院へ連れていく。それから母親の思いつきで犬を車に乗せたまま父親の施設へ連れていき、父と犬との感動の再会をさせてやろうという流れになる。フェラリヤの注射のせいなのかわたしの運転のせいなのか、ぐったり感あふれる彼女の顔は気にしない。こんな半端なVQ1005の写真をあらためて見るにつけ、やるきのない顔がすてきだ。彼女はハーハー言わない。病院で他の犬猫を見ても関心をしめさない。という自分のことをおそらく犬と思っていない♀犬だ。
施設で父親に犬を連れてきているというと、わかっているのかいないのか、チャコに会いたい会いたいよ。と声が上ずる。そのまま駐車場へ連れていき、彼女を父親のもとへひきあわす。が、6年も一緒に暮して、たった1年会わないだけなのに、吠えまくる愚犬チャコであった。父親もあからさまにがっかりしつつ、犬の名前を何度も叫ぶ。しかし、犬吠え続ける。という状況で犬と父親に「びっくりしただけだから」と、取り繕って無理矢理吠えるのと叫ぶのをやめさせる。父親は何がどう興奮したのか犬の顔をたたきだす。犬また吠える。と収拾がつかなくなってくるので、この会合が失敗したことを関係者全員が理解したところで、解散をする。
帰りの車の中では、ウルフルズのラブソング・ベストに入っている実験4号やワンダフルワールドや僕の人生の今は何章目ぐらいだろうを聴いてウルフルズっていいのねと気づくついでに、「バンザイ」にあわせて「君を好きでよかった/バンザイ/君に会えてよかった/このままずうっと/ずうっと/死ぬまではっぴい」と、いろいろなことを誤魔化すように大声で歌う。♀犬に冷たい視線を向けられる。
彼女がわたしを見る視線から、しょっちゅう「あんた、なにやってんのよ」みたいな吹き出しが出ている気がしてならない。

The ピーズ実験4号」の井坂幸太郎と山下敦弘の小説と映画のコラボ。っていうのを読んで観た。小説を読んでからDVDという順で。これが全く関係なく曲のイメージで作られたコラボかと思っていたら。小説と映画に相互補完という成り立ちがあった。たぶん、小説から映画の順序の方がわかりやすく、映像の細かな場面にああと気づいては頷くことができる。あるいは、逆からというのも、全く違う発見があったのかもしれないけど、それはもうわからない。そして簡単で真摯なわたしの感想は「これのどこが実験4号であったのだろう」だ。
実験4号
わたしが小学2年生のときに転校した学校はできたばかりの団地にある小学校だったので、この小説と映画の実験4号と同じ設定の男子生徒が3人で若くて奇妙な女の先生が担任だった。
はじめて行く学校に、わたしはうまれて初めてのパーカーというものを着て行った。なんとなく、パーカーが誇らしくて、おなかのポケットに両腕を入れて、フードを被ったりしてスキップしながら歩きまわった。担任の先生からもパーカーを褒められて、さかんにパーカーのフードをいじられた。家に帰って、そのフードの中になにか濡れたゴムが入っているのに気づいたのだが、それが何だか気づかずに先生が間違えていれてしまったのかと、濡れたゴムをつかんで捨てた。それから、小学校の6年生になって公園のフェンスに、ゴムがひっかかっているのを見て、それが昔の自分のフードの中に入っていたものだと同じ物だと気づいたが、それが何のゴムなのかは、まだわからなかった。
そして、どこかでコンドームというものがあることを知識として得ていたはずなのに、どこかではじめて自分が使うことになった時に、まさしくそれを使い終わった瞬間に、小学2年生のわたしのパーカーに入っていた物が使われたばかりのコンドームであることに気づいた。
そのときにうしろで流れていたのが「実験4号」でした。という出来すぎたことにはならず、それからほんの数年あとに、誰かから「わたしはThe ピーズがすきだ」という話を聞いて、あわててThe ピーズを買って聴いたのでした。というはなし。