ミランダ・ジュライにつかまった日

Shipbuilding2008-05-15

すべては、MARK KOZELEKからはじまってMARK KOZELEKに終わったようで、やはりミランダ・ジュライで終わった日。
もうすっかり忘れていたMARK KOZELEKを思い出させてくれたために、わたしはiTunesにも入っていなかったSun Kil MoonやらRed House Paintersのアルバムをごそごそと探していたところで、古い雑誌や漫画が出てきたので、だらだらと横になって眺めたり読んだりしていたところ、雑誌「YOMYOM」のミランダ・ジュライの短編が素敵すぎてびっくりした。それは、同じ小説ならば偶然R・ブローティガンやE・ケイニンやC・マッカラーズの本を見つけて驚いたのと全く同じだ。誰かの勧めで読んだのではなくて偶然どこからか見つけだして面白いと思ったものは自分にとって特別なものになる。そんなことは小説だけでなくて、音楽や映像や食べ物や風景や人も同じことかもしれないけど。
とにかく、その雷が落ちたようなミランダ・ジュライショックを受けた日。ユリイカですでにミランダ・ジュライを読んでいたことも探りだしたのだけど、こちらはそれほどはピンとこない。それからもだらだらと横浜トリエンナーレのフライヤーを眺めていたら出展者なんて殆ど知らない人ばかりなのだけど、舞踏の人がいるなと思ったそのあたりにミランダ・ジュライの名前を発見。まあしかし、小説を書く人がトリエンナーレで踊るはずもないから同姓同名の人なのだろうと思っていたところで、新聞のテレビ欄にしかも殆ど眺めないNHKのBSでミランダ・ジュライ監督という文字の映画「君とボクの虹色の世界」という文字まで発見。それはもう絶対あの小説を書いたミランダ・ジュライだろうよと決めて、録画ボタンを押して、MARK KOZELEKのライブに出かけた。
もちろん、MARK KOZELEKは、とても素敵で同年齢の人が多い客層にも安心し昔のハル・ハートリー映画のことを思い出させてくれたり。2時間しゃがむことも寝てしまうこともなく、二人のギターと一人の声に気持ちよくさせてもらえた。りして、1時間かけて家に帰ったところで、気になった「君とボクの虹色の世界」を見てしまったら、これが最初から最後まで目がホチキスどめ。
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どのシーンも美しくて不思議で可愛くて奇妙で切なくて情けなくて可笑しい。と、すぐに映画に出ている女性がミランダ・ジュライだろうと確信し、あの横浜トリエンナーレに出るのもこのミランダ・ジュライに間違いないと頷く。映画は強引にまとめると、「100%ガーリッシュ映画」っていうやつか。もう若くないくせにガーリッシュって言葉に耳が大きくなってしまったり、アルパカやカピバラが好きな女子や男子はとにかく「君とボクの虹色の世界」(原題はすてきな「Me and You and Everyone We Know」)っていう映画を見るしかないですよ。というわけで、MARK KOZELEKのことを思い出させてくれた人に、ミランダ・ジュライの映画はいいんだよって言ったところ、知っているどころか、わたしに前にいろいろとこの映画の面白さを教えてくれたらしい。これもすっかり忘れていました。もうしわけない。好きなものは、何度も好きになり直せる。生まれ変わってもきっと、同じ物や事や人を好きになるのでしょうね。ということで。
で、小説はまたもや岸本佐和子さんの翻訳で今年中には短編集が出るのだとか(原題は「No One Belongs Here More Than You」)そこらへんのもろもろはユリイカ3月号の岸本佐和子さんと山崎まどかさんの「わが世界文学けもの道」が楽しい。ほんとうはよく知らないミランダ・ジュライのイメージはローリー・アンダーソンほどトンガッテなくてビョークほど政治的ではなくて。。身近にいるアート好きで無理して何でもやってしまう人。みたいなイメージで。小説のミランダ・ジュライや映画のミランダ・ジュライをそれぞれ好きな人がいるけど、日本でミランダ・ジュライを発音させたら、わたしがいちばん思いをこめて「みらんだじゅらあい」って言えると思う。というミランダ・ジュライにつかまった日。わたしはもう人にたいしては特別な思いをもたないでも生きていける気がした。



朝顔はたぶん、おおきくなっているのではないだろうか。水は雨水におまかせして全くあげていないのだけど。それってどうなんだろう。
猫の食事どころを、冷蔵庫の下に移す。わたしが冷蔵庫を開けるたびに彼女もやってくる。上と下で一緒に食べ合うというのは、なかなかいい感じだ。冷蔵庫の写真はランニングのときによく会う猫。どれも写真はVQ1005