日本映画考@アテネ・フランセ

「手錠」(ロスト・ヴァージン やみつき援助交際
ピンク映画という産業はどういう場所でなりたっているのか不思議だ。射精産業として考えれば、それはビデオやDVDにとって変わられているはずで、いったいどういう需要があるのだろうか。そして、ピンク映画の射精シーンというのは、挿入して射精完了までがみな30秒くらい。というのは早漏すぎじゃないのだろうか。と、そういうのは、ロープに振ったらロープに向かって走らなければならないような、ピンク映画の約束なのだろうか。とかいう素人の疑問は解けることもなく。
その昔ピンク映画四天王と言われていたというお名前だけは知っていたサトウトシキ監督作品を初めて観た。ピンク映画ということを平常心で抜きにして、素敵な青春映画だった。佐々木日記という女優のデビュー作で、10年前の高校生から5年前。そしてこの夏。という10年を1時間で描くのだから射精が30秒であっても仕方ないのかもしれない。10年前にテレクラであった男にかけられる手錠を朝までかけて外す。5年前は出て行ったあとの部屋で誤ってかけてしまう手錠で、この夏は自らかけて取り外すこともなく牛丼やで働くと若いバイト仲間に「だせえ」と言われる10年間。二人乗りの自転車、浴衣を着て明け方を歩くシーンなどなと、みんな的確で、ああ正しい正しい。と頷きながら観る。あまりに今風な台詞は25日に監督作品が上映予定の今岡信治のものらしい。
そして、終映後にサトウトシキ監督と佐々木姉妹のトークイベント。佐々木日記のお姉さんがこのあと上映された「団地の奥さん、同窓会に行く」の主役。こちらの方は、かなり真面目にピンク映画の世界を描いていた。そういうこともあるのだろう。とわからないなりに面白がり。
しかし、佐々木日記の映画でひんぱんに言う「うっせえんだよ」の声が耳から離れない。やっぱり声フェチなわたし。そして、佐々木日記さんの今後の芸能生活が気になって仕方ない。
そして、二つに作品を見る限りでは、これはピンク映画にする必要はなかったのだろう。と思ってしまう。ほとんどこのままでも一般映画とし上映ができるのかもしれないし。ますますピンク映画とは何なのだろうという疑問が増すばかりのまま25日もアテネ・フランセへ出かけてしまうのであった。