村上春樹 アフターダーク ISBN:4062125366

iTunesマーヴィン・ゲイのアルバムを3枚くらい聴いている内に読み終わってしまったおかげで、マーヴィン・ゲイの音と彼の数奇な生涯がこの小説に結びつく。というほど大層な関連があるはずもないのだけど。前の日に読んだシルヴィア・プラスや、朝読んだバリー・ギフォードの小説の印象までが重なってしまうという、何かしらを、あるいは何もかもを引きつけてしまう小説だった。
ハリー・ポッターの発売日に子供たちが家で読むのが待ちきれずに書店横で座り込んでいたのを真似したくなるくらい、わたしも本屋の下のパン屋で寝転がって読みたくなった。と、そんなに発売日を気にしてまで読みたくなる作家なんて、今は村上春樹阿部和重矢作俊彦秋山瑞人しか思いつかない。そして、この村上春樹の新作は長編と呼ぶには物足りない厚さゆえ、2時間ほどで読み切れてしまうのだけど、その短さの中にはあまりにも多くの凝縮されたモノが潜んでいる。安直で大雑把な最近のわたしの村上春樹の印象はどうしてもデヴィッド・リンチと重なってしまう。何かのインタビューで本人は彼の映画は好きだけど。という前置きでその類似さを否定をしていたけど、アフターダークこそ、わたしにはポジティブなD・リンチの新作映画を観ているようだった。
と、時間ができたところで、ファンタジー小説を読んで地図を書きたくなるように、この小説の章にある時間毎にさらに詳細なタイムテーブルの中に、わたしの感じたモノらを書きたくなったので、そんなもしかしたらの作業とだらだたとした感想はまたあとで。