演技者。の熱海殺人事件

演技者。 1stシリーズ Vol.1 (初回限定版) [DVD]
部屋の片隅に埋もれていた「演技者。」のDVDをようやく見る。少年隊の「熱海殺人事件」。わたしがいちばん繰り返し見た同一タイトルの芝居といえば、間違いなく「熱海殺人事件」になる。たぶん20回から30回の間くらいの数え切れない種類の熱海殺人事件のバージョンを見ている自称熱海準一級だ。ちなみに熱海の浜を歩いたこともない。そして、数を見ているからといって、この芝居がそんなに好きなわけでもない。もう毎度のように最終バージョン熱海殺人事件という宣伝(ちなみに2005年3月にも石原良純黒谷友香で公演があるけど絶対に最終にはならはいはず)につられて劇場へ行ってしまうという騙されやすいわたしの業がそうさせるのだ。きっと。で、この少年隊の三人は信じられないテンションで。いやパッションで。あの「つか芝居」を見事に演じていた。と、もう始まったところで、東山紀之の木村伝兵衛に飛び上がってビックし。メイキングをみてないけど、これは演出にもつかこうへいが入ったのだろうか。しかし、何でアイドルのくせに、こんな濃いつか芝居が出来てしまうの。と思うも、彼らは少年隊というジャニーズの名前をそのまま背負ったままに、ベテラン俳優にもなっていたのだ。熊田留吉の植草克秀も大山金太郎の錦織一清も、それはそれは見事なつか演技をしてくれた。こんな芝居は他所では使えないだろうに。と気の毒がる。そもそも、つかこうへいの芝居は、今はそのどの舞台をとっても、本人と過去からの観客にとってのいくつかの見せ場面を残して、限りないつぎはぎをしている。それは、ある意味伝統芸能の粋に達しているのかもしれないが、そんな設定のため、おそらく初めて見る人にとっては、感情移入し難い奇妙な舞台と感じるはず。
と、テレビの少年隊版熱海殺人事件も、またこんな物語が初見の人についてこられるのかわからないくらい、ダイジェスト版。そして、少年隊はもちろん、松岡昌宏今井翼もそつのない芝居が出来ているのに、あんなにつか芝居の舞台に立ったというのに、藤谷美和子のやる気の無い芸風もまた凄い。台詞が入ってないとしか思えない何かに視線をあつめた棒読み。もうプロとは思えないきちんと立てない立ち姿。それはそれで逆に少年隊の熱意を吸い取るようなスリリングな舞台となったのかもしれないが。
しかし、どう見ても歌も踊りもスマップより上の少年隊が、スマップになれなかったのはどうしてなのだろう。とか、アイドルであった男の子達が30を超えて、さらに歳をとっていくのは、たいへんなのだろうなあ。と、ほんとジャニーズに受からなくてよかった。やれやれ。と猫といっしょに胸をなでおろした。