サマーソニックっつうか全てはTHE FLAMING LIPSのために

すでに集合を一時間あまり遅れ、ジモチーなのに入り口でうろうろするというやる気の無さを露呈。そして、最初に何を見るのかを決めていなかったというか知らないバンドばかりであったため、WAHAHA本舗やらお笑いとかお笑いとかバーバーサマソニとかフットバスとかタロット占いとかお笑いとかお昼ご飯とかで時間を潰して次第に何でここに来ているのかわからなくなる。しかし、サマソニソニックとマウンテンの音響は酷すぎなのではないだろうか。どの音も割れて特に人が入っていないときはその人口の少なさと比例して全ての音が寂しく聴き取れない。実はもうすでにフレーミング・リップス以外に何を聴いたのか記憶がなくなって書く気はなかったのだけど、何かの記録のために。たぶんこんな感じ。AMUSEMENT PARKS ON FIRE/ ANNA TSUCHIYA/ EL PRES!DENTE/ THE CARDIGANS/InK(TAKKYU ISHINO+HIROSHI KAWANABE)/ マキシマムザホルモン/ PUFFY AMIYUMI/ グループ魂/。そう。自分でもなんでこんなことにというくらいもうサマソニ来てまで聴かなくてもいいじゃん。みたいな邦楽ばかり。聴きすぎている魂はおいといて、雷雨で中断されたおかげで見ることができたマキシマムザホルモンは、ほんとに微笑ましくて楽しかった。魂が見るひとを笑わす。というのと限りなく近い意味で見るひとを微笑ましていた。しかし、微笑ましというのを越えたところにあったのが、グループ魂を途中で切り上げてかけつけたフレーミング・リップスのオープニングだった。
後ろでひっそりと聴く。みたいな心構えだったのだけどフレーミング・リップスの会場はあまりに人ががらがらで、どんどん前に。ちゃんとウェイン・コリンの風船に入って会場を渡る芸も披露して、お約束の RACE FOR THE PRIZE の全力投球ぶりにたまげる。100あまりの風船を降らし、ステージいっぱいに人間や人間的なものや生き物的なものをあげさせる。そして大量の紙吹雪やテープをこれでもかとまき散らす。それは何人もの人の手を目や口に当ててしまう、ウェインの脳内多幸感の視覚的実現。アルバムを聴いて想像していたフレーミング・リップスのセンチメンタリズム感。というのは、もうそんなところを遥かに越えてしまって、気恥ずかしくなるようなファンシー夢世界に到達していた。いろいろ悪いことやつまらないこともあるけどさ。こんなに幸せなこともあるのだと、眩しい照明の下に最後まで舞い続けた風船越しに見える、あの人たちの企みに嵌まってしまう。すでに3曲目あたりに日本で一番有名な曲「Yoshimi Battles The Pink Robots」を持ってきて、幸せ感も絶頂に。もうわたしからこれ以上脳内に多幸感物質を出さないで。これ以上何ひとつ脳から出さないでえ。と叫んでいる内に、DAFT PUNKが始まる時間のあたりでさらに人はいなくなる。もう盛り上がっているのは会場前方1/5くらい。たぶん途中から入ってくる人はその前方だけで繰り広げられているファンタジー世界に引いてしまうのではないだろうか。という、ちょっと奇妙な光景が続く。本当はフジロックのヘヴンやらオレンジやらで見れば客層にも助けられて感動が増したのかもしれないけど、このまま屋外でやるのは難しかったのかもしれない。また単独で行って、これだけのセットを使うにはペイできないのだろうな。とこれまた夢も何も無いことを思いながら雨具の心配もトイレで並ぶことも歩き疲れることも全く無くてあっというまに終わってしまった一日限りのサマソニであった。
一日たってもすでに前後の記憶が抜けているフレーミング・リップスの「これでもか」ぶりが忘れられずにyou tubeで、彼らの最近のライブ映像を見る。今年の夏もいくつものフェスに登場していた彼ら。中でもLollapaloozaやWakarusa Festivalのライブ映像がいくつも既にアップされているけど、客観的に見てもあの8月12日の幕張のライブが最高だったかもしれない。たとえ客の数が1/100でもね。たぶん、これとかこれで見えるのでは?見えない場合はTHE FLAMING LIPS で検索すれば好きなだけ彼らの様々な音程が外れまくって無理な12弦ギターの馬鹿馬鹿しくて恥ずかしくなるくらい幸せなライブ映像を見ることができる。そしてサマソニセットアップ中サービスの反則ボヘミアン。とかサマソニ泣き叫びなど。
だけど、ライブについて何億回繰り返して言われることなのだけど。あの8月12日の神々しい色々なものが一斉に降りてきて一瞬にして多くの人を泣かせてしまった奇跡のようなオープニングはもう二度と誰も目撃することができない。