アラン・アーキンらぶ

シネコンで勝手に二本立て。一つは「王の男」。映画の中で芝居を見せる。という構造はたいてい刺激的なのだけど、この映画もなかなかその見せ方が面白かった。そして相変わらず熱い韓国映画
わたしの生涯ベスト映画は「愛すれど心さびしく」で、小学生の時にすでに昔の映画として見た、その映画の主役だったアラン・アーキンが出演しているというだけで観た「リトル・ミス・サンシャイン」。これまた、とてもとても素敵な映画だった。アメリカの家族映画を観ていてよく思うのは、その家族のショットがとても奇妙で美しいということ。この映画でも、家でのジャンクフードを食べる食卓から始まり、ファミレスのような狭いテーブルでの食事風景。バスに走って駆け込む家族。兄を励まして肩を抱く妹とその向こうに見える家族。窓越しにバスを押す家族の顔。コンテスト会場で踊る家族。などなど、その奇妙な美しさとしか言い様がない、あれやこれは映画でしか作れないものだ。もはやどうでもよくなってくるような目標のためにいろいろな物を犠牲にしてまで懸命になる。というのがとてもアメリカ的で素敵だ。へんな家族。ロード・ムービー。お爺さんと小さな女の子。喋らない長男。と呟いて、わたしも会社や家や実家でほとんど喋らない。それは無口とか口数が少ないということを越えたところにある芸のようなものかしら。と少しだけ考えながら帰ると実家から電話。遅い時間に実家から電話があるとあせるのだけど、「里芋は皮ごと茹でれば簡単に皮がむけるけど。雑煮は多すぎて捨てるよ」という丁寧な報告だった。雑煮を作るのは一年に一度だけで良い。

映画の音楽ビデオなのだけど、予告編よりも見ごたえがある。どうかこのビデオに一瞬映る、妹の兄抱きと後ろに見えるバスと家族と青空の美しさを味わってくだされ。