シェフの気まぐれサラダ

Shipbuilding2007-02-23

北海道は知床に行って、流氷の上を歩いたり、落ちたり、潜ったりしてきた。そして、インフルエンザにかかった。インフルエンザは、熱やいろいろな痛みで眠れないくらい辛かったけど。今となっては、鼻の穴に綿棒つっこみ。というインフルエンザチェックがこれまた苦しかった。医者がわたしの目を見ながら「綿棒行きまあす」と言うと、想像以上の激痛が鼻の奥から脳髄へ突き抜けるに従い、「させるかあーっつ!」と叫びながら医者の腕を押し返した。看護師が「子供じゃないんだから」と微笑みながら私の後頭部を押さえるので、「子供なんだもん」と目をうるうるさせて看護師の顔を見る頃には、綿棒は私の鼻から出されていた。というわけで、完全なインフルエンザA型になっていたわたしは、長いあいだ家の蒲団にごろごろする生活を送っていた。
そしてめくるめくDVD三昧の生活を送ったのでした。念願の林由美香の「由美香」も見た。カルトなホラーやピンク映画も目を充血させながら見た。芝居のDVDも吐きながらたくさん見た。君やあなた達の評判のあんなアニメやそんなアニメも見た。そんな一週間あまりのDVD生活で一番印象に残っているのは、「ケロロ軍曹」と大野智の「青木さん家の奥さん」だ。今まで日本で作られてたアニメを全て総括しているかのようなケロロ軍曹を堪能しつつも、やはり大野智。どうしてジャニーズの人たちは歌はともかく、芝居がうまいのだろう。そして、大野智の役者力がこんなに凄いものとは知らなかった。実際に同じ舞台として蜷川幸雄二宮和也主演だった「シブヤから遠く離れて」を思い出しても、その圧倒する存在力やありえない奇妙さは、完全に智君の勝ちだ。そもそもわたしが知っている舞台俳優の中でも、彼の奇妙さは郡を抜いている。私にもう少しお金があれば、クリント・イーストウッドに、二宮くんでなくて大野くんを推薦したのにと寝床で悔しがったり。
しかし、屋久島の森と知床の流氷を歩くと、もう情熱を持って行きたい場所がない。読みたい本や聞きたい音楽や観たい舞台程度の欲望では、寝床から起き上がる力にはなかなかなれない。何か特別な欲望を見つけては自分の生きる理由にするというのは、ものすごく不健全な気もするのだけど。とりあえず、出産をして自分の子供をジャニーズに入れる。というのは、どうだろうか。
インフルエンザでごろごろしながら、大野智君に思いをはせていたこと以外に、DSの「世界樹の迷宮」を完全にクリアするためにも膨大な時間を費やしたことを思い出した。わたしの2007年の冬はJoanna Newsom渋さ知らズのライブをキャンセルしたものの知床の流氷と大野智くんとケロロ軍曹世界樹の迷宮のフォレスト・セルを堪能したこと。って書いてみると、なんか充実していたのか、わたし?あと、国立新美術館にも行ったのだけど。ここはものすごくだめだ。特に美術館といえばその建造物なのに。黒川紀章のデザインは大間違いをしている。都知事なんかに立候補をして他人にセンスがないと言う資格はあなたにはない。という不満は、実際にあそこへ行って歩いた人ほど納得するはず。とにかく疲れて、居づらくてそこに長くいられなくなるの。とくにあのガラスに囲われたカフェ?は10分も座ると顔が焼けてくるよ。あれは信じられないデザインミスでしょ。おまけにただ美術史的な観点の企画ばかりで残念すぎる。と書いてて、美術で少し楽しみなのは、ダ・ヴィンチの「受胎告知」。あの太ももまわりの布がいいのだ。わたしも受胎告知を受けたい。そしてもちろんその子供はジャニーズに。