僕の大事なコレクション

小説「エブリシング・イズ・イルミネイテッド」asin:4789724131はわたしにとっての満点小説だったので、この物語でこの小説以上の映画を作れるはずはないと映画を見ることには興味がなかった。しかしその日は一駅離れたTUTAYAから半額割引なのだからどうしても何かを借りてくださいよのお誘いを受けて「ソウ」の1,2,3と全くついでに「僕の大事なコレクション」を借りてしまったのだった。そして「ソウ」の2を見終わった後に3を見る前の「箸休み」のような気持ちでを見たら「ソウ」の3を見ることを忘れてしまうくらいびっくり。映画は小説とはまた別物の素晴らしい世界が描かれていて何度もウンウン唸ってしまった。小説から映画への変更点は登場人物のイライジャ・ウッドが演じるジョナサンをかなりなオタクの変人として描いていたところと小説では手紙の往復書簡みたいな構成をとっているところを、見事なロードムービーとして映画化していたところ。ジョナサンの性格をいじったのは、イライジャ・ウッドが演じるからなのか。変人にしたかったからイライジャ・ウッドに演じさせたのか。オタクを演じたら彼の顔はいま世界一かもしれない。そして、もうわたしは、ロード・ムービーには目がありませんよ。全ての映画はロード・ムービーにすべきだ。またDVDには劇場未公開シーンみたいなのが収録されていて、これがものすごいお金をかけて作られていた。たしかにこの場面があると無しでは映画の印象が違ってしまうくらいの作りこみだった。映画の最初のシーンとラストシーンがここで収録されている場面ではさまれることによって、どうだったのだろうか。などとうじうじ悩まさせてしまうくらいだから、むしろこんな未公開場面を載せないでほしかった。映画は、なんでもない空と道の描写にはっとさせられ、フィルムにはウクライナのその場所の風景がきちんと写っていた。どこの国の映画でも、たいていはその国の匂いがあって、その国の風景がきちんと写されているのだけど、はたして今の日本映画で日本らしい風景が写っている映画はなにかしらね。と思って、わたしが思い出した日本映画はなぜか森田芳光の「の・ようなもの」だった。この映画のラストは美しく、主人公が延々と隅田川沿いを歩く場面は景色に涙ぐませる映画だった。ような記憶があるのです。そしていまだに隅田川沿いの下町あたりに住むことに憧れながら、テレビをつけたらば、