クマの中の人

わたしは表紙やタイトルが熊であれば、とりあえず買っとけの人であるので、安東みきえの「頭のうちどころが悪かった熊の話」も表紙でお持ち帰り。素敵な動物短編小説集だった。短編集の魅力は、その作者のグリップ力のような手触りのような感触のような味覚のようなものが、味わいやすいところ。まあ、熊は出てくるわけなのだけど、それは読む人にとって、その人だけの熊なのだ。そう、あらゆる熊に、熊の中の人がいるのだ。そういえば、町田康夫婦茶碗か何かでもとりあえず童話を書くならば熊が主人公だろう。と、熊の童話を書くという話があった。あいかわらずわたしは実家で介護読書会として、町田康の小説を声に出して読んでいる。少なくとも実家の犬とわたしにとって、わたしの声で読まれる町田康の小説は気持ちが良い。

頭のうちどころが悪かった熊の話

頭のうちどころが悪かった熊の話