それははたべらないな

猫に缶の餌をあげるか、ドライフードをあげるか、それはわたしにとって大きな問題だ。おそらく世界の一匹の例外もなく猫はドライフードよりも、猫カンの方が好きなはず。缶詰をあたえつづけて、ドライフードをあげようとすると、ドライフードに砂をかける。と、家なので砂はないくせに、匂いだけかいて、わざわざ大きなモーションで、「こんなまずいものはたべませんから」と餌に尻を向けて後ろ足で砂をかくポーズをされてしまう。
しかし、病弱(ほんとうに病気なのだろうか)なわたしの猫は医者から薬と、指定されたドライフードしかあげられなくなっている。しかし、わたしも猫の親である。クリスマスと正月くらいは。と、缶詰の餌をあげては、猫が狂喜する様をみてしまうと、だらだらとドライフードに切り替えられなくなってしまう。そこで、猫医者に連れて行くと、わずか数週間のはずなのに、猫の具合が悪くなっていると脅されてしまった。
というわけで、この間まで、至福の食生活を送っていた♀猫は、いくらまってもドライフードしか出てこない餌皿を見てはため息をつき。なで肩の猫肩をさらに落として沈んだ顔でペタペタと座布団の上に戻っていく。
わたしが冷蔵庫に近づくたびに、缶詰がでてくるのかと。早く出しなさいよ。とまとわりつく度にさらなる大いなる失望を味わせているここ数日。ふてくされる顔がかわいいと思えるくらい、わたしはねこコンになっていた。