闇打つ心臓

もういろいろな場面を忘れていたオリジナル版をこの2005年版闇打つ心臓を見て思い出す。2005年版の方は、わたしはどうしても中年太りしてしまった内藤剛志のその様や、あまりにバタクサくなってしまった彼の演技が見てて苦しい。とりわけ、この映画をめぐるドキュメント風の描写というのが、見ていて恥ずかしくなってしまうくらいクサイ。しかし、それだけに随所にインサートされるオリジナル版闇打つ心臓の室井滋内藤剛志の演技も演出も瑞々しく美しい。もちろん同じ長崎俊一なのだけど、昔の長崎俊一に失礼ではないかと思われるくらい、その落差は大きかった。ただ、オリジナル映画の中で唯一、スクリーンへ身を乗り出してしまった場面は、内藤剛志の安っぽい一室で23年前のことを語り合うシーン。ここの二人の演技は室井滋の「リンゴォ、つまんなくなったね」で少しだけ内藤剛志にも火がついてしまったのかのようであった。ただオリジナル版を見たときも童貞であったわたしには所詮わからない男女の世界の映画だったし、今もこれだけ濃い男女の関係というのは、大人の人たちの世界よねえ。と、年だけはとっくに大人をふりきっているはずのくせに、その実今でも童貞とかわらない人生をわたしは送っているのでしょうか。大友良英さんの音楽はとっても素敵だった。
と、あいかわらず著作権無視の映画の写真を貼ってみて、この映画の若いときの二人を今更見て結構すてきな目。まあきっと好きな人と抱きあうというのは素敵なことなのでしょうよ。