いぬなみから犬以上に

わたしは高校の知らない人に話しかけられやすい人大会で二年連続優勝したことがある。この日も動物病院へ行くと、隣に座った女性から「ここに来る人達はみんなまわりの犬猫よりも自分の飼っている犬猫がいちばんかわいいと思っているの。それって産婦人科の待合室と同じ。わたしは3回堕胎したけれどね」とたぶんそんな趣旨のことを話していた。が、いつも人の話は頷くだけで全く頭に入らず、相変わらず腎臓の病気が治らない彼女の体重がまた増えていた。ミニチュアダックスフンドクラスから、完全にダックスフンド並の体重となる。でぶ猫というだけでなく、なんか体つきが猫らしくない。最近お腹の毛が灰色っぽいと思っていたら、短い手足のため、お腹が床に磨れて猫ダスキン状態となって床を掃除してくれていることに気づく。それでも食欲が収まらない彼女は、毎朝わたしが寝ていると体の上に乗って餌をくれと起こしてくる。布団の上から体に乗るくらいだと、こちらも耐えてまだ布団から出ないでいると、最近は顔の上に乗るようになってきた。猫に殺されるのは少し世間体が悪いので、さすがに起きることになってしまう。朝寝坊をしたときの猫の匂いは腐った食パンを焼いたおいしそうな匂いがする。お互いのために、これからは彼女といっしょにポッキーダンスをしよう。