ipodの中の人

ipodのnanoを外で聞くときはたいていシャッフルで聴いているのだけど、もう絶対中の人がいるとしか思えないくらい、その場面にふさわしい曲ばかり選んでくれるし。かかる曲はかかり続け、かからない曲は全くかからない。外を走りだしたときには、必ずリズムが心地よいエレクトロで始まって、意識が朦朧とするくらいの後半になると日本語に聞こえるBEAT CRUSADERSや英語に聞こえるマキシマムザホルモンが流れて空元気をもらえる。さらに中の人はその場に応じた音楽を選んでくれるだけでは物足りないのか、Mice Paradeの曲のあとにCarolineが流れたところでMice Paradeが来日しておまけにCarolineがゲストらしいという知らせを読んだり、The Cranberriesが流れたところでDolores O'Riordanのソロアルバムの発売の知らせを読んだり、という静かな啓示を与えてくれる。芝刈りをするとビーチ・ボーイズを鳴らし外で弁当を広げるとキセルのピクニックを流すくらい気を利かせてくれる。猫の病院へ出かけたときは、松田聖子だったか松田聖子のトリビュートの方だったかの曲たちが流れて、ちょうどアルバム一枚分が終わる頃にわたしの苗字と猫の名前を呼ばれた。機器を使った検査をするために、わたしが治療室から出て待合室に腰掛けるところで、古今亭志ん生の「火焔太鼓」が流れた。ほほほと聞いていると、奥の治療室から猫の悲鳴が聞こえて、待合室の全員がわたしの顔を見た。