赤い文化住宅の初子

松田洋子の漫画が映画になるということを知ってから、何で「赤い文化住宅の初子」を監督は選んだのかしらネ。という謎は監督は最近まで松田洋子の漫画を読んでいなかった。というインタビューを読んで納得。松田洋子の漫画を知らないというだけだったのだ。松田洋子漫画ならばふつうは「薫の秘話」を映画にしたくなるだろう。「薫の秘話」を読んで「赤い文化住宅の初子」はないだろうに。と思っていたのだけど。そうか、読んでいなかったのかと扇子を叩いて納得。赤い文化住宅の初子は、松田洋子作品において強引で中途半端な物語と、作者も無自覚に引用した過去作品におけるキャラの省略形で成り立っている。兄、父、田尻先生という惜しいキャラたちが、そのまま何かをぶったぎったまま広げられていて残念。期待してはだめだめと呟くようにして見に行ったのだけど、あまりに原作の上辺をなぞった何もない普通のドラマにしか見えなく、どうしてわざわざ映画にしたのかもわからなかった。というのは、「東京タワー」に何も感じられないわたしの感覚に問題があるのかもしれません。それでも、よかったところを思い出すと、主役の東亜優のまなざしと塩谷峻のキレ具合と坂井真紀の脚の指の芝居。と、あまりに拍子抜けだったので、映画のあとにも竃ラーメンを食べたら、お金が30円足りなくて後ろに並んでいた学生風の男子に借りた。そしてそれが四食目だったことと、30円を借りたつもりが返す連絡先を聞かなかったことに気づいたのは、家に着いてからだった。