2004-01-01から1年間の記事一覧

 桐野夏生 「リアル・ワールド」ISBN:4087746194 人の死には軽重がある

桐野夏生の一筋縄ではいかない女性達模様というのは、女子高生を描いても健在。そして、OUT以来、主人公を勝手に作者とダブらせて読んでしまうわたしは、この小説の中の「取り返しのつかないことってあるんだよ」がストンと来た。ここで説明される「取り…

 次回作は虐殺西部劇だそうで

ロブ・ゾンビのマーダー・ライド・ショーはすごい。すごい。すごい。と何度も呆気にとられた。ホラー映画が何なのか、わからなくなったとき「悪魔のいけにえ」をホラー映画のベストだと思い出して確信できる人にとってはこれは堪らない。その後のことを考え…

 何も残らないと君は言う

「轟天VS港カヲル」(大人計画ウーマンリブ) その、キャラクタ対決の勝敗結果はどうだったかというと、劇団☆新感線のドラゴンロックのような怒濤の爽快感は跡形も無く、ウーマンリブの意味がないと言われる中にも痛い男女のむき出し合いみたいなものも微塵も…

可愛さではちん吉くんの圧勝

バンダイが社運を賭けたといううなずきん http://www.bandai.co.jp/releases/J2004090201.html は、どうやら賭けただけで終わってしまう感じがするのだけど。そして、わたしはやはり人形に話しかけられないのですけど。けど、どういうわけか、うなずきんで思…

うなずきんがうなずかないとき

 アフターダーク 簡単に

村上春樹がその最初の作品から描き続け、拘り続けていることは変わっていない。それは、こちら側と向こう側の二つの世界を描くこと。そして二つの世界の狭間や、二つの世界の行き来を描くことだ。二つの世界とは、本人が何度も解説しているように、凡そ生と…

うなずきん

バンダイの商品ページ http://www.bandai.co.jp/releases/J2004090201.html の説明「うなずきんは森の小さな妖精。ふだんは大きなキノコの下に住んでいるという設定」という設定について、たっぷり詳細を聞きたい。ちょっと奇妙な限定ターゲット10代−20…

かわいさ勝負で連敗中

村上春樹 アフターダーク ISBN:4062125366

iTunesでマーヴィン・ゲイのアルバムを3枚くらい聴いている内に読み終わってしまったおかげで、マーヴィン・ゲイの音と彼の数奇な生涯がこの小説に結びつく。というほど大層な関連があるはずもないのだけど。前の日に読んだシルヴィア・プラスや、朝読んだ…

村上春樹のアフターダークだけを買うつもりだったのに。 ・マシュー・パール「ダンテ・クラブ」〜地獄変の模倣犯に文豪集団が挑む〜って意味全然わかりませんが、ピーター・ストラウブが絶賛しているので ・ニコール・クラウス 「2/3の不在」 小池昌代と堀江…

パンを食べたら牛乳を飲め

 シルヴィア・プラス 「ベル・ジャー」ISBN:4309204015

シルヴィア・プラスの小説も詩も読む前から、どうしてこんなの彼女の伝記物*1が日本で多く出ているのか不思議だった。そして、なんとなくわたしは、小説「ベル・ジャー」が大のお気に入りとなって、それからひとつつづ彼女の自伝を漁るようになるような予感…

 黒いものを のはずが

・マーヴィン・ゲイ ライヴ・イン・モントルー ̄1980 ASIN:B00009SF4S ごめん、マーヴィン。今まであまりにきちんと聴かなかった。モントルージャズフェスティバルのライブ版を丁寧に聴くと、胸がつまって苦しくなる。こういうのを胸がはりさけそう。とかい…

かいものぶぎをくちづさみ

 シルヴィア・プラス 「ベル・ジャー」

この自伝的な小説が出版されてまもなく、自分の頭をオーブンに入れて自殺したというシルヴィア・プラス。女の子版「キャチャー・イン・ザ・ライ」。という評判がすっかり刷り込まれて期待していた本だけど、この前時代的な倫理観の上にたった寧ろ差別的価値…

今日出会った怒る人

・駅を降りたところで、男女の怒鳴り声が聞えてきた。それはかなり興味をわかせてもらえるような男女の喧嘩をしているようにしか聞えなかった。しかし、駅の階段を降りたところの両端で彼と彼女が叫んでいるのは、お互いの浮気について罵倒しあっているので…

正義感スイッチ

  「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」

その日、書店へ行ったのは松尾スズキがbuzzに書いているという「40歳からのフジロック」をどれどれと立ち読みするためだった。それが、書店横のベンチに何人もの小学生風の女の子が座って買ったばかりの「ハリーポッター」を読んでいるという光景に遭遇し…

少年少女の一日

上野俊哉監督のピンク映画「猥褻ネット集団 いかせて!!」を観に行く予定だったところ、ハリー・ポッターを読む。とりあえず読みきる。DEATH NOTEの3巻を読んでと今更ファイナルファンタジーXも2時間くらいしてみる。漫画じゃないみたいとかゲームじゃな…

強く儚き者

ポーラ・ラドクリフが足を止めたときに泣き出したその嗚咽のような泣き声を聞いて。英国の新聞で棄権したことを叩かれては、記者会見で「みなさんをがっかりさせてしまったけど、一番がっかりしたのはわたしなのだ」という言葉を伝えるときの顔をまた見てし…

 鈴木清剛「スピログラフ」ISBN:4104487023 内容に触れています

朝から動けずに寝たまま食事をしながらそのまま「スピログラフ」を読む。買ってから一年くらいどんどん後回しになっていた本。ちょうど一年前にこの本を買った日に秋刀魚を二匹食べたこと大きな落とし物をしたことも覚えている。 鈴木清剛のあえて何も起こら…

 ねこはしり

家に廊下なんてあっても仕方がない。歩くだけの空間って無駄だしょ。と思っていたのだけど猫が来て廊下があってよかったという猫の運動場と化している廊下の端にいるヤツと部屋の端にいて寝ころがりながら鈴木清剛の小説を読んでいるわたしと目が合った。相…

走ってアイにコイ

 マイケル・チミノ 「ビッグ・ジェーン」ISBN:4789723070

一度でも、とてつもなく誰かを好きになると一生ついていってしまうわたしだけど、マイケル・チミノはどうしてしまったのだろう。映画「ディア・ハンター」「天国の門」の狂気と呼べるような人間描写はここには全くない。そして何度も引用されるドン・キホー…

 Think of One guest:渋さ知らズ/KiLA@SHIBUYA O-EAST

前座の渋さ知らズというのもよかった。シンク・オブ・ワンやキーラに対してヘリクダッタ「われわれは彼らのように難しいことができない。だけど、たまに自分たちが難しくなってくる。自分で何やってるのかわからなくなるんだ」のMCで不破さんも受けている…

跳びながらサックスを吹くのはむずかしい

 クルシメさん,アトピー刑事〜愛の井口昇劇場1988-2003

そして、いつのまにか時代は井口昇なのか。こんなDVDまで発売。借金してでも買おう。クルシメさんが作られたときに、この映画?を褒めている文章なんてどこでも見たことがなかった。唯一ささやかな歓びにあふれていたのが、新井亜樹マニア。つまりわたしくら…

 竹中直人匙の会

竹中直人と岩松了の間に何があったのかわからないけど。今年から竹中直人の会改め、竹中直人匙の会となって、脚本がケラリーノ・サンドロヴィッチ、松尾スズキ、宮沢章夫だなんて。豪華というか、ごった煮本となるような。しかしこんな人たちに共作を頼めた…

 舞城王太郎 「好き好き大好き超愛してる。」ISBN:4062125684

村上春樹以降、小説にはオスが登場しなくなった。しかしそれはもちろん、村上春樹が小説の上だけでオスを消してしまったのではなく、おそらくいつのまにか日本からオスは消滅していたのだ。村上龍や中上健次が描こうとしていたオスは実際には既に日本では絶…

舞城王太郎は女だった その6